Friday, August 28, 2009

幸せな歳のとり方

2006年 8月 26日 19時25分 51秒 人生
別の古いブログ「アデレードほんわかツアーガイド」で一番最初に書いた日記を紹介します。



今日は休みだったパートナーのスチュアートと、午前中銀行へ行ったあと、ショッピングセンターの中のカフェでカプチーノを飲みながら、日本語の勉強をしていました。

彼はとっても熱心なのですが、物理が専門。語学に関しては、なかなか思うようにいかないようです。それに、やはり残念ながら、10代や20代の若者のようには簡単には覚えられません。

私は自分では、『教えるのは上手』と、ちょっとうぬぼれたところがありますが(^w^)、それでも、ついいらいらして、それを顔に出してしまいます。そんな自分に腹がたってますますいらいらし、あげくの果てに、今日は薄いコーヒーを頼んだのにちょっと濃いのが来て、「このコーヒーまずいわ・・・」とコーヒーにまでやつ当たりする始末(s~s)。

彼は、すぐにそんな私の気持ちを見抜いて、いつものように、優しく語り始めました。

「僕達はこれから歳をとっていくけど、幸せに歳をとっていくためには、なるべく小さいことにこだわらないようにしようよ。君は、僕が文句ばかりいうおじいちゃんだったら、ずっと一緒にいたいと思うかい?コーヒーがまずいからって、それでぶすっとして、他のことまで面白くなくなるなんて、つまらないじゃないか。

聖書にねぇ・・・・『変えられないものをそのまま受け入れる穏やかな心を与えてください。変えてもいいものを変える勇気を与えてください。変えてもいいものと変えられないもの、この二つの違いを見分ける知恵を与えてください』っていう言葉があるんだ。
世の中には自分では変えられないことがたくさんあるよね。」

私も、聴きながら、『全くその通りだなぁ・・』って反省していたら、彼が突然誰かに手を振って挨拶をしました。ふと見ると、にこやかに笑う笑顔のすてきな白髪のおばあちゃまが、手押しの椅子つきショッピングカートを押しながら、スチュアートに挨拶を返していました。彼の昔からよく知っているエヴァリンさんでした。

彼女が嬉しそうに明るい満面な笑顔を私達にくれたので、私達は同じテーブルに招きました。

私は初対面でしたが、彼女は「あなた達二人はとてもお似合いよ」と微笑んでくれました。
彼女の柔らかい話し方と、とても優しい笑顔は、見ていてとても気持ちがいいものでした。

初めて会った私も自然に心が開いて、彼女に対してとっても素直な気持ちになっていました。
そして、
「さっきね、彼の日本語の勉強を手伝っていて、私がいらいらして、コーヒーがまずいってコーヒーにまでやつ当たりしてしまったんですよ。そしたらね、スチュアートがこんな言葉を教えてくれたんです。」と言って、スチュアートが紙に書いてくれた上の言葉を、エヴァリンさんに見せました。
彼女は静かにそれを読むと、ゆっくりと話し始めました。

「スチュアート・・・全くこの通りね。同感だわ。そうなのよね、自分ではどうにもできないことがたくさんあるのよね。
私もね、8人の家族をみなガンでなくしたのよ。私の最愛の夫もガンでなくなったのよ。

そうそう、この前はねぇ、バスから降りるときにちょっと転んでね、口びるを切って縫ったのよ。
でももう大丈夫なの。
関節炎もひどいけど、歩けるだけでもいいと思わなきゃね。
そうそう、最近この近くに引っ越したのよ。ここまでは歩いて来れるから本当に便利よ。」

と、とてもはきはきと、笑顔で明るくおっしゃるんです。


それを聞きながら私はもう涙が出てきて止まりませんでした。
私は、昔から、なんでもすぐ感動して泣くんです(^:^)。
彼女は「あらあらごめんなさい、何か私が変なことを言ったかしら?」と心配してくださいましたが、勿論それは、私が彼女の前向きさに感動した涙なので、涙を拭きながら、笑顔で「心配しないでください、ただの泣き虫なんです」と彼女に言いました。


それにしても、さっきまで「コーヒーがまずい」と言ってぶすっとしていた私。
「そんなことで他の楽しいことまで見逃しちゃいけないよ」とさとしてくれていたスチュアート。
そこに偶然にも現れたエヴァリンさん。「なんて偶然なんだろう・・」って思いました。

だって、スチュアートが「歳とって幸せなおばあちゃんになるためには、、」っていう話しをしていたところに、まるでその見本のようなエヴァリンさんが、私達の前に現れたんですよ。

とても素敵な偶然でした。人生って、面白いですよねえ。


***私もスチュアートも別にクリスチャンではありません。
どの宗教にもいいところがあると思っています。
でも強いて言えば精神的な面では、仏教の考えが一番自然かなって二人とも思っています。

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